玉電デハ60形の製作(その11)
パンタ台を作ろうと1mm厚の真鍮板を4mm幅に切出し、両端にボール盤で取付け穴を開けようとしたところ、いくら押しつけてもキリが食い込みません。モーターはいつもより景気よく唸っているのに、よく見たらチャックは回っていません。
ということはベルトが切れたかなと思ってカバーを外してみると、予想どおり切れていました。負荷がなくなったから、その分モーターが高速で回っていたわけです。これでは仕事にならないので、中野の島忠ホームセンターと新宿の東急ハンズにスペアパーツを探しに行ってみましたが、どちらにも単体のベルトは置いてありません。
家に戻り、ものは試しと切れた部分をロックタイトでくっつけてみました。数分たって少し伸ばしてみても大丈夫そうです。
ならばとプーリーにかけてみます。空回ししても切れません。これならいけそうなので穴開け作業を再開しました。いつまでもつかわかりませんが、31日に接着してから今日まで、まだ切れずに回っています。
とはいえ、いつ切れるかわからない時限爆弾を抱えているのは不安なので、翌日(11月1日)、秋葉原に行ってみました。期待していた工具屋2軒はいずれも「ベルトは置いてないなぁ」というすげない返事。少々落ち込みつつ、いつもの千石電商を覗いてみると、問い合わせの多い商品ベストテンの2位がゴムベルトで、これは2階に置いてあるという掲示が出ていました。早速2階に行ってみると、確かにかなりの種類の在庫がありました。しかし、輪っかになっているのは細いのばかりで、2mmより太いのは熱接着タイプになります。自分でやってうまく接着できるかという不安はあるものの、そこそこの値段だからダメモトで買ってきました。
熱接着といってもどのくらいの温度にすればよいのか、取り敢えず100Wのハンダ鏝のヒーター部分に近づけてけて様子を見ます。数分して色が少し透明っぽくなったところでぐいっと押しつけると、ネトっとしてくっついた感触があります。接着部分が常温に戻ったのを見計らい、片方を万力に咥えて引っ張ってみました。矢印が接着部分ですが、そのとなりが細く伸びても接着そのものは剥がれません。
コツがわかったので所定の寸法にして本番。接着部分の出っ張りはニッパーでちょん切って整形します。これでスペアができ、安心して工作が進められます。
前振りが長くなりましたが、パンタは止め金を作ります。フック状のものは可動式にしないと無理そうなので、K村流のピンタイプにしました。1.2mmの線の先をドリルレースで尖らせ、その下にちょっとくびれを入れています。
横梁に差込んでハンダ付けしただけでは強度的に不安なので、3mmほど折曲げてたっぷりハンダを流しておきます。
もう一度各部の不具合がないかを確かめたら、上枠が外れないよう関節金具を折曲げます。関節から出っ張った部分を切取れば、パンタは完成です。
折り畳んだところ。少し左が上がっていますが、まぁいいことにしましょう。
次はパンタ台の脚、板厚は0.5mmで4mm幅としました。裏に筋彫りを入れてバイスに挟んで曲げ、このあと直角になるよう整形します。
よくよく写真を見ると4mm幅では太すぎるので、2.5mm幅で作り直しました。
パンタ台本体にハンダ付け。木製屋根にイモ付けでは不安なので、外側になる部分の裏に0.7mmのピンをハンダ付けし、屋根に差込むようにします。
パンタ台枠と同寸法の板に仮固定し、前後左右の位置合わせをしたら軽く押しつけ、ピンが入る穴の位置を決めます。
ぐっと押込んだら、脚の裏側にロックタイトを流して固定します。
パンタを乗せてみます。碍子は16番の直流用で、恐らくカツミのだいぶ古い製品です。上のつば径が太いタイプで、60形もちょうどこんな感じなのです。
前から見たところ。幅もこんなもんです。
七三の構図。う~ん、架線が欲しくなる。
ベンチレーターも仮置きしてみました。
中扉の戸袋部分は車体を持つときに力がかかりそうなので、補強を入れておきました。これで上回りはほぼできあがり、いよいよ台車の製作に取りかかります。
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線が細くてきれいなパンタですね。パンタの裏面の写真からイコライザの機構が良く分かります。パンタ止めは棒のくびれ部分がパンタ舟の下の梁に引っかかる機構なのですか?舟を平行に保つ機構も必要ですね。現物をはやく拝見したいです。
投稿: ぼっちぼち | 2019年11月 4日 (月) 20時10分
ぼっちぼちさま、
イコライザーは下になる方が横梁にあたるのを避けるため、折れ線になっています。止め金は上枠2本に割込む形になります。シューの平衡装置はなく、最も上昇した位置で水平になるカラクリは、16番のパンタと同じです。
投稿: モハメイドペーパー | 2019年11月 4日 (月) 23時28分
ベルト、V型でなくて良かったですね。〇型なら代替品もOKと言うことですね。それにしてもこの種のパーツって、一旦無くなると本当に困ります。
それにしてもパンタ、俄然良くなりましたね。早く見たいです。
投稿: OER3001 | 2019年11月 4日 (月) 23時48分
うわー、素晴らしい出来のパンタですね。来年の新年例会でデビューですね!
投稿: Cedar | 2019年11月 5日 (火) 08時40分
OER3001さま、
Vとかギサギザのあるやつだったらお手上げです。アマゾンなんかにはいろいろ出ていますが、最初に現物を見ないで買うのは不安です。
Cedarさま、
やはりエレキものはパンタが命です。でもまだ台車が控えているので、気を抜けません。
投稿: モハメイドペーパー | 2019年11月 5日 (火) 10時42分
マルゴムのOリングは滑ったり、伸びたり、切れたりと動力伝達方法としては
余り好ましい方法でなく、Ⅴベルトはゴムの中に心線が入り更に布で覆われている
ので滑らない、伸びない、切れないのでボール盤の様な工具の動力伝達
方法にはⅤベルトの方が優れてますので購入する時は変速部を確認すると
いいですね。ユーザーよりⅤベルトの寿命の方が長いと思います。
投稿: ぬか屋 | 2019年11月 5日 (火) 18時22分
ぬか屋さま、
買った時はそこまでの知識がなかったですね。まぁヘビーユースではないし、切れたのもこれが最初か2度目くらい。今回買ったスペアも絶対に使い切ることはないでしょう。
投稿: モハメイドペーパー | 2019年11月 5日 (火) 21時21分